前川投手

芦屋川

 一昨年の秋、阪神が優勝旅行に出かけた後のことだった。芦屋川沿いに新規開店したブティックの店先に、開店祝いの花が並んでいた。みると、「祝開店」と書かれた札の送り主の名前に、プロ野球選手が多い。その中にひときわ目立つ札に書かれた文字。「祝 開店 阪神タイガース前川勝彦」。これって、川尻選手とトレードで入ってきた元近鉄のピッチャーだよね、と思いながらみていた。トレードがあってすぐのことだったのだけど、大きく書かれた「阪神タイガース 前川勝彦」の文字が誇らしげで、そういえばこの選手、小さいころからタイガースファンだったので嬉しいです*1って入団会見で言ってたよな、と思いだした。ブティックの開店主は、元プロ野球選手だろうか。彼は第二の人生をスタートするのだろうか。現役の選手たちは、彼の前途に幸多かれと思い、少しでも自分の名前が役に立つのならと自分の名前入りの花束を贈ったのだろうか。前川投手が、入団直後とはいえこの阪神間で、しかも18年ぶり優勝をとげた直後の阪神のブランドがどれだけ強いか感じていないわけはあるまい。

 某スポーツ新聞の昨秋の記事に、岡田阪神が失速した*2一因に、伊良部投手と並べて前川投手の不調を挙げていた。「ああいう気持ちでいくタイプのピッチャーは、まず一勝をなんとしてもあげさせてやらねば。それができなかった監督の責任は大きい」というのが記事の主旨であるように思ったのだけど、現実としては、前川投手は去年阪神タイガースで一勝もできなかったという数字が残るのみである。某スポーツ新聞の記事が的をえているのか、そうでないのか、それはわからない。私たちにわかるのは、残った数字のみである。しかし彼は、自分が流した汗の量を知っている。

今年はローテを守って15勝くらいでお願いします。

*1:入団会見で逆のことを言うやつはみたことないが

*2:忘れちゃだめ。春先はすごかったと自分に言い聞かせる